2012年5月6日日曜日

科研費申請:不採択課題の通信簿

残念ながら昨年の科研費(挑戦的萌芽研究)は不採択だったわけですが。久しぶりにe-Radにアクセスすると、その結果の内訳が更新されていました。

総合判定は「A」。「採択されなかった研究課題全体の中で、上位20%に位置していた」そうです。あと少し(?)だったようですが、不採択では何の意味もありません。

次に、つなげるためにも何が駄目だったのかを確認してみると。

第1段審査の絶対評価では、全評価項目9つの中の下記の3項目に「*」が一つずつ付いていました。(「*」は要するに「不十分マーク」 。今回は4名の審査員がついたようなので,最悪の場合、4つの*マークがつくことになるはずです。)

▶【明確に斬新なアイディアやチャレンジ性を有する研究課題となっているか 】
→そもそもの所ですね。正直、自分でも少し「斬新さ」と「チャレンジ性」には不足を感じていました。イタイところです。

▶【当該分野もしくは関連分野の研究進展に対する大きな貢献、新しい学問分野の開拓等、学術的な波及効果が期待できるか 】
→もう少し期待される効果を、具体的に分かりやすく表現する必要があったように感じています。

▶【研究目的を達成するため、研究計画は十分に練られたものになっているか】
→今ならもう少し練られたものにすることはできそうです。

つまるところ「基礎的な研究立案能力」も「申請書作成上のテクニック」も、まだまだ不十分だと言われているってことだと思います。

第2段審査の相対評価では、「A」(「全体の上位25%以上に入っている」=採択課題レベル)をつけた審査員は1名しかいませんでした。キビシーですね。

評価項目が抽象的なので、具体的な対策が立てにくいですが、 今後は、日常的に論文を読む際にもっと意識して着眼点や方法論、論理展開方法を学ぶ必要があります。さらに知り合いの先生方の採択された申請書等をなんとか入手して研究し、申請書作成時の視点や技術についてもまだまだ向上させて、研究能力の全体的な底上げしていくしかないようです。

しかし一方で、この絶対と相対評価の2段階審査を行った結果の開示が、「予め用意された限られた抽象的な内容の審査項目」に4段階評価つけただけというアンケート形式のお手軽評価システムになっていることには不満があります。プラスアルファが必要だと思います。審査員の先生方が、わざわざ忙しい時間をぬって多くの申請書を審査してくださっているんですから、その時の評価を「コメント形式(一言二言でもいいので)」でもっと具体的に開示するくらいのことはすべきだと思います。

今回の場合だと、
「どこが斬新ではないのか?チャレンジ性がないと考える理由は?」
「大きな貢献度が得られないと判断した理由は?」
「研究計画のどこが曖昧だったのか?」

これらを聞く事は求めすぎなのでしょうか?

別に、不採択結果に難癖をつけているわけではありません。
単純に、科学研究の評価システムの質が向上すれば、自然と申請書および研究内容の質も底上げされると思うからです。もっと良い方法があればそれでもいいと思います。少なくとも今の形式的での不明瞭なお手軽システムが良いとはとても思えません。実際、海外のグラントはもっと詳細な不採択理由が提供されているというのをきいたことがあります。

最近、Natureなどで日本の科学研究力の低下(若手研究者の減少、日本の科学研究費は右肩上がりなのに研究成果はむしろ下がっている等)という話題が取り上げられているのをよく見かけます。原因はいろいろあるんだと思います。でも、こういった審査システムのあり方もその一因になってるような気がします。

企業と同じだと思います。評価システムがお手軽で安易な会社が、良い結果を出せる体質になっているわけありませんから。

(以上、GW遊び惚けた若手研究者(予定)が科研費について感じたことでした。)


ps, 今日は単車を30分くらい走らせ、錦江湾の沿岸にある生ガキ屋さんにランチを食べにいきました。てっきり鹿児島産だと思っていましたが、店員さんに聞くと広島から取り寄せているらしいです。

美味しかったです♪

やはり、海の幸はアミとスミで焼くというシンプルな食べ方が一番おいしく感じますね。

とうとう、学会出張から数えると約11日間という長いGWもようやく終わります。休養・栄養ともにバッチリ。明日からは全開バリバリで頑張りたいと思います。

同僚の皆さんに会うのも久しぶりです♪

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